研究概要 |
アスコルビン酸オキシダ-ゼ(以下ASO)はウリ科植物の果皮に多く存在する銅含有糖タンパクであり,臨床検査、食品中のビタミンC定量に用いられる有用酵素である。キュウリ由来のcDNAを用い、微生物でのASO生成を試みた。 1.大腸菌で生成したASOタンパクの再構成 組換え大腸菌細胞にはキユウリASO抗体と反応し,分子量も塩基配列から推定される値に一致するポリペプチドがかなりの量生成したが,酵素活性は検出されなかった。不溶性画分に存在するこのポリペプチドを塩酸グアニジン,尿素などで可溶化,透析,銅原子の導入の一連の実験を種々条件下で行った.CDスペクトルでは天然ASOとほゞ同一パタ-ンを示す再構成物も得たが,まだ酵素活性は認められず,研交は継続中である。 2.酵母におけるASOの生成 ASOcDNAを酸性ホスファタ-ゼ遺伝子,PHO5プロモ-タ-支配下に置き,S.cereciseae SH985株で,リン酸濃度の低下によりASOの合成を行った。N末端の分泌シグナル配列を有するもの,有しないものについて検討した結果,免疫反応性を有するASOポリペプチドが数種,いずれの場合にも合成され,糖付加に違いがあると推定された。細胞を分画し,可溶性画分,不溶性画分共に該ペプチドが存在し,やはり一部inclusion bodyを形成していると思われた。酸性ホスファタ-ゼのリ-ダ配列を付加した構築物の場合,可溶性画分に低いながらもASO活性が検出された。現在、その詳細な実体につき検討すると共に,発現量を増大させる宿主,ベクタ-系,および培養法についても検討中である。
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