研究概要 |
キュウリのアスコルビン酸オキシダ-ゼ(以下AOと略)は同一サブユニットの2量体より成る分子量約130kDalの糖タンパク貭であり,サブユニット当り4個の銅原子を含む銅タンパク貭である。既にキュウリより本酵素のcDNAを得、塩基配列を決定した。本研究では、キュウリのcDNAをもとに構築したAOの成熟型酵素の遺伝子を大腸菌で高発現させ、次に部位特異的変異により銅結合部位を改変し,酵素活性との相関を明らかにすることを目的としたが,微生物で活性をもつAOの生成にまだ成功していない。その経過を以下にまとめた。 1.AO遺伝子の大腸菌での発現:AOのcDNAを大腸菌での高発現ベクタ-,pkk233ー2のtacプロモ-タ-の下流に挿入し,E.coli JM105を宿主としてIPTGで発現を誘導した。SDSーPAGE,ウエスタンブロットにより、全タンパク貭の約10%がAOであったが,封入体を形成しており,酵素活性は検出されなかった。培養条件を種々検討したが、活性型は生成されなかった。次いで封入体タンパク貭を尿素または塩酸グアニジンで変性させ,種々の再構成実験を行ったが,成功しなかった。 2.AOの酵母での発現:AO構造遺伝子を酵母の酸性ホスファタ-ゼまたはAOのリ-ダ-配列に連結し,PHO5プロモ-タ-のもとでS.cere ci siaeで発現させたが、酵素活性を認めることは出来なかった。 3.AOゲノム遺伝子のクロ-ニング:cDNAは逆転写酵素の誤りのため、正しい塩基配列を有しない例がある。そこでcDNAをプロ-ブにゲノム遺伝子をクロ-ニングした。チエキソンから成っていたがコ-ド領域の塩基配列はcDNAと完全に一致していた。
|