研究概要 |
1.光回復能を有するダイズ品種の緑葉より全RNAを抽出し,オリゴdTセルロ-スカラムによりpoly(A)^+RNAを調整した.それを鋳型にcDNAを合成し,常法にしたがってλZAPファ-ジベクタ-にパッケ-ジングしてcDNAライブラリ-を作製した.同様に,イネ培養細胞およびソラマメからもcDNAライブラリ-を作製した. 2.酵母DNAよりPCR法により増幅した光回復酵素遺伝子をECL標識しプラ-クハイブリダイゼ-ションを行った.50万のプラ-クから45個のポジティブプラ-クをスクリ-ニングした.各プラ-クのDNAをプラスミドにつないで光回復能欠損酵母の形質転換を行っているところである. 3.光回復能を有するダイズ品種の緑葉からの粗抽出液を硫安沈殿したところ,光回復酵素活性は約10倍に高められた.さらにSephadexGー100およびリン酸カルシウムゲルによる精製を行ったところ,精製ファクタ-はそれぞれ約30および300倍に高められた.精製過程の各分画の光回復酵素活性は,光回復能を欠くインフルエンザ菌(ストレプトマイシ感受性)のストレプトマイシン抵抗性への形質転換頻度の測定により定量した.さらにイオン交換クロマトグラフィ-による精製を進める必要がある. 4.イネおよびソラマメのcDNAに対して,先述のプライマ-を用いたPCR法を適用したところ,長さは異なるが,いずれも酵母光回復酵素遺伝子と相同性の高いDNA断片が増幅された.また,同様のPCR分析を光回復能の異なるダイズ品種のcDNAに対して行ったところ,光回復能の高い品種と低い品種の間でPCR産物に明瞭な差異が認められた.
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