研究概要 |
前年度は完熱風乾状態のササゲさや(pericarp)に含まれている3種類のGA(GAI,II,III)が土壌中でどのように変化するかを調査した。その結果,結合型のGAIIIは土壌中で遊離型のGAIIに変化し,GAIIはイネ植物体中でGAIに変化するであろうとの推測を得た。また供試材料中にもっとも多く含まれているGAIは土壌中で比較的長期間分解せず,イネに吸収させた場合その体内から容易に検出され,生長促進の作用も顕著であった。 一方著者はすデにGA_3を植物体に吸収させた際,イネを含む一部の種類の植物以外ではGA_3は植物体内で結合型のGA_3グルコサイドに変化することを観察した。 ササゲさやのGAIはGA_3とその行動が類似していることから,植物の種類によっては,GAIを吸収させることによって,結合型のGA(恐らくGAIII)が生成されるのではないかと考え,イネ,エンバク,ササゲの幼植物に根から吸収させて調査を行った。実験は70パ-セントアセトンで抽出後,酸性で酢酸エチル,およびnーブタノ-ル可溶性のGAに分画しペ-パ-クロマトグラフィ-で展開したのち,イネ幼苗テストで行われた。 その結果GA_3で認められた結合型GAの生成は認められなかった。またインゲンさやのGAIに相当するGAについても同様な実験を行ったが,結合型GAの生成は認められなかった。しかしながら,本実験はなおその可能性を否定できないため,さらにGAIの精製の度合いを高め,吸収方法に改良を加え,かつ,より多くの種類の植物を用いて調査する予定である。
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