ヤムイモの晩生のソロヤム及び早生のあらた1号の2品種を供し、4月下旬に砂壌土のほ場に植え付け、それらの生育中期の8月初旬に10時間日長の短日処理を行ったのち、自然条件下で40日間ほど裁培を続けた。そして、生育中庸の株の塊茎の乾物重を測定し、処理効果を品種間あるいは処理間で比較した。つぎに、同じ処理を行った植物体を成熟期の秋まで裁培を続けて、塊茎の成熟生長に対する短日の影響を塊茎の水分含量及び卸し汁(トロロ)の粘度の面から検討した。 1.いずれの品種も短日に感応して、塊茎の肥大生長が誘起され、その反応は品種間で異なったが、反応の程度は両品種とも処理回数が多いほど大であった。 2.成熟生長期における塊茎の水分含量は、短日処理区で低く、処理区の11月初旬及び中旬の数値と無処理の成熟期の12月初旬及び中旬の数値がいい対応を示し、成熟生長が約1か月ほど促進された。 3.卸し汁の粘度は、短日処理で強く、処理区の11月の粘度と無処理の12月のその値がほぼ近似し、粘度も処理によって約1ヵ月促進されていた。 以上の2、3の結果は、生育中期の日長処理が塊茎の肥大生長の開始を促進するのみでなく、成熟生長をも促進する効果を有することを明らかにすると同時に、降霜地域の低温障害並びに無霜地帯における周年裁培への日長処理の実用的な応用の可能性を示唆するものであった。 塊茎の肥大生長を誘起させる植物活性物質を検定するための生物検定法の確立に関する研究は継続し、平成4年度中には検定法の確立が可能であろう。
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