最終的な苗立ち率は通常3葉期頃には決定するが、ときには、5葉期になることもある。播種(発芽)から苗立ちに至るまでを3期に区分し、低温苗立ち性強、弱品種群の各期の苗立ち特性を解析した。 本学付属農場保存品種のうち前年に採種した28品種を供試し圃場試験を行った。播種期の移動によって適温区(6月24日播種)、弱低温区(5月14日播種)、低温区(4月21日播種)、強低温区(3月25播種)の4温度区を設け、苗立ち率を経時的に調査した。 各種度区とも最終的な苗立ち率(5/G)に明らかな品種間差が認められた(1%水準で有意)。5/Gは播種個体の1葉抽出率(1/G)、1葉抽出個体の3葉抽出率(3/1)、3葉抽出個体の5葉抽出個体の5葉抽出率(5/3)の積として表される5/Gに対する1/G、3/1、5/3の相対効果を標準偏回帰係数によって比較すると、適温区では1/Gおよび5/3、弱低温区では1/G、低温区および強低温区では3/1でそれぞれ大であった。したがって、低温苗立ち性の品種間差には5/3はあまり問題にならない。苗立ち率の高い品種群は適温度において1/G、3/1が共に高く(低温以外の苗立ち阻害要因の影響を受けにくい)、弱低温区で1G、3/1は有意に低下せず、低温区、強低温区において3/1の低下が小さかった。1/GはShootの伸長性および発根性の双方と3/1は発根性のみと有意な正の相関関係を示した。発根性は低温苗立ち性の選抜形質として重視する必要がある。
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