研究概要 |
メロンの果実への光合成産物の転流について ^<14>Cを用いて調査したところ,植物体全体に検出された ^<14>Cの55ー65%が果実に分配され,果実への ^<14>Cの分配率には主茎上を葉の位置の影響は認められなかった。そこで,主茎の各節間を,それぞれ1本の維管束の含むように縦に分割し,それぞれの組織の ^<14>Cの分配率を測定したところ,いずれの節でも ^<14>C施与葉の直下の維管束を含む組織で最も高く,27ー45%が検出されたが,55%以上はその他の維管束を含む組織で検出された。この結果から,メロンの主茎内では,光合成産物は維管束から維管束へ容易に移行するものと推定された。 メロン及びキュウリの葉に ^<14>Cで標識された炭酸ガスを施与して光合成させ,2,4,8時間後に転流経路に添って部位を分けて採取し,各部位に含まれる糖を同定し, ^<14>CO_2施与後の時間を追ってそれぞれの糖区分に分配された ^<14>Cを分離定量した結果から,ウリ類の一次転流物質であるラフィノ-スを含む少糖類が転流経路に添った組織中及び周辺組織へ移行中に分解され,一,二糖類の変わるものと考えられた。 ブドウでは, ^<14>Cを用いて48品種のブドウの葉で生成された糖類の組成及び茎へ移行した糖類の組成を調査したところ,品種や系統によってかなり大きな差異が認められ,転流物質については従来の報告にこだわらずに,基礎的な研究を行う必要があることが明らかとなった。 セイヨウナシ'ラ・フラン'の果実においては,果肉でデンプン合成が行われるのは満開後約120日までであること及び蓄積量と分解速度に年次変化があることが明らかにされたことから、デンプン蓄積量とその分解速度が収穫適期を予測するための重要な資料となることが期待される。
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