第2年度は、初年度において実施した研究の成果が得られた平面形態の分析方法論を用いて、下記の3つの異なる種類の都市公園を対象としたケ-ススタディを実施した。 1.台東区の小公園における平面形態の改変構造:震災復興公園として戦前に設置され、東京都台東区に現存する小公園を対象として、戦後数次にわたって実施された改修において、オリジナルな平面形態が改変される過程をトレ-スした。その結果、改修による形態要素と形態構成の変化は著しいが、それらは開園当初の平面形態が有していた構造的特徴に規定されるかたちで生じていることが明らかとなった。 2.防災公園の平面形態の特徴:関東地方の12か所を対象とした分析を実施した。震災時の一時非難場所として整備されてきた防災公園は、空間に求められる機能の特殊性ゆえに、形態要素と形態構成のありかたに重点をおいて整備がなされている。このため、日常の利用を想定した明確な形態構造・空間構造の把握は困難である。しかし、どの事例においても、形態構成のヒエラルキ-を生成するために形態要素の配置を改変することによって、構造を形成する余地は十分にのこされていることが確認された。 3.平面形態における「地域性」の演出手法:日本国内の18の事例を対象に、「地域性」のデザイン的演出手法を平面形態から読み取る分析を行った。その結果、形態要素には素材と工法が、形態構成には公園の立地特性が、形態構造には公園敷地外部への視覚の延伸が、それぞれ対応しているものと推察された。
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