両種の体細胞融合に関する基礎的条件の検索を行った。その結果、VAC(VOLTAGE AC:印加交流電圧)及びINITIAL TIME(VAC INITIAL TIME:印加交流電圧時間)と細胞結合との関係では、最も高いsingle pair形成率はVACが15〜20V、INITIAL TIMEが25〜35sec.の時に得られ、最も高いpearl chain形成率はVACが30〜35V、INITIAL TIMEが10〜25sec.の時に得られた。この他、VACが15Vの時にワサビダイコンのプロトプラストが、VACが35Vの時にワサビのプロトプラストがよく泳動することが確認され、双極電気泳動は細胞の大きさ及びVACによって強く影響されることが明らかとなった。また、VDC(VOLTAGE DC:方形波直流高電圧)及びPW(PULSE WIDTH:パルス幅)と細胞融合との関係では、DCが290〜300V、PWが85〜105μsの時に最も高い融合率を示した。さらに、PULSE NUMBER(印加DC PULSE総数)は2回以上与えると細胞が破壊され、FINAL TIMEによる交流電圧印加はその必要性がないことなどが明らかとなった。なお、融合後の培養条件の検索は現在進行中である。 雑種胚の発育と崩壊についての組織学的観察の結果から、交配後10日目頃から急激に生存率が低下することから、10日目の未熟胚珠を用いて胚珠培養及び子房培養を試みたが、いずれも雑種個体を得ることができなかった。今後は培地、添加ホルモン、培養環境等の条件について検索し、未熟胚の救助法の確立を目指して行く方針である。
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