研究概要 |
人工気象器(1万8千ルックス)を用いて24時間を一サイクルとし,トマトの暗期に対する生育反応を調査した。 1.トマトの生育は4時間暗期一20時間明期で最も良く,連続照明下では,既に10日目頃から葉の裏側にアントシアンが生成し紫色を呈するようになった。20日目頃より葉のクロロシスが激しくなり,下位節ではネクロシスとなる葉も出現した。単位新鮮重当りの葉のクロロフィル含量は連続照明で著しく低く,1時間暗期挿入の約60%となった。1時間の暗期が挿入されると,クロロフィル含量は暗期8時間のそれと同程度にまで回復した。 2.茎葉の全炭素と全窒素の含有率は連続照明で若干高まり,リン,カリおよびマグネシウムは日長による一定の傾向は示さなかった。しかし,カルシウムは連続照明と1時間暗期で著しく低下し,4〜8時間暗期の約70%となった。また,鉄は連続照明で1〜4時間暗期と差がなかったが,亜鉛は低く1〜8時間暗期の約60%となった。 3.葉のクロロシス及びネクロシスが,どの成分の欠乏によって生じているかを知るため葉分析を行ったところ,連続照明で低下する成分はカルシウムとマグネシウムであった。特に,カルシウム含有率は8時間暗期の約40%と著しく低かった。鉄,亜鉛の含量には大きな差は認められなかった。 以上の結果より,夜(暗期)がないとカルシウムとマグネシウムの葉での含有率が低下し,クロロシス及びネクロシスの発現に到るものと推察された。
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