研究概要 |
開花時に1結果枝3花に摘花し、結果枝基部に環状剥皮を行って、受粉(P)と花粉遮断(N)の組み合わせ処理によりPPP,PNN,NPN,NNP,NNNの5区を設け落果と果実発育を調査した。その結果、NNNでは先端果実の落果は少ないが基部の果実はほとんど落果し、果実の着生位置が落果に影響を及ぼすことが認められた。また、結果枝長が20cm以上では先端果実の落果は極めて少ないが12cm以下では多くなり、結果枝長も落果に影響を及ぼすことが認められた。PNNとNPNでは受粉果実の落果は極めて少なく受粉の効果が認められたが、NNPでは基部の受粉果実より先端の花粉遮断果実の落果が少なく、受粉よりも果実の着生位置が落果に強く影響を及ぼす場合のあることが認められた。さらに、PPPでは必ずしも落果は少なくなく、先端果実においてもNNNのものより落果が多かったので、受粉は必ずしも結実を促進しないことが認められた。一方、落果しなかった果実の発育はNNNでは先端果実が、PNNとNPNでは受粉果実が優れる傾向にあり、同化養分の蓄積が落果と関係していることがうかがえた。以上より、落果は果実間の同化養分競合により生じ、先端果実が基部の果実より同化養分の競合に関しては有利であると考えられた。さらに、受粉は直接的に結実に作用するのではなく、受粉果実は花粉遮断果実との競合においては有利なため結実が促進されると考えられた。そこで、落果は絶対的な条件で生じるのではなく、果実間の相対的な同化養分の競合の結果として生じることが示唆された。
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