カキ‘富有'及び‘平核無'の単為結果性や無核果実の発育に及ぼす受粉の影響を調査し、‘富有'における生理落果と果実間の同化産物の競合との関係を明らかにするとともに、‘富有'と‘平核無'の単為結果性の差異についても検討した。その結果、‘平核無'の結果枝における単為結果は花雪の着生位置と受粉の有無により大きく変動することが認められ、その変動のパタ-ンや花粉庶断果実の結実率‘富有'とほぼ同様であるった。このように、花雪の同一着生条件では‘平核無'と‘富有'の単為結果性の形質発現は類似しており、両品種の単為結果に関する遺伝的な差異は極めて小さいものと考えられた。‘富有'の同一結果母枝内の3結果枝において、受粉果実が存在すると基部の結果枝で単為結果はやや低下し、果実発育は発育第2期に劣ることが認められた。すべて花粉庶断すると単為結果した果実の発育は優れ、受粉果実より優れるものも多くみられた。これらのことから、結果母枝内の異なる結果枝に着生する果実間でも同化産物の競合間系が認められたが、競合の強さは同一結果枝内の果実間より弱いと思われた。また、果実発育も競合関係にある果実間の相対的なsink力の差に起因していると考えられた。通常の栽培条件において、主枝や樹体ごとにすべての果実を無核にすると比較的よく結実し、すべて受粉したものに比べて結実率はあまり低下せず、放任受粉のものよりやや優れた。収穫期における単為結果果実は種子数が5個程度の受粉果実に比べて果形がやや偏平であるものの、品質はほぼ同様に優れた。
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