1.in vivoにおける寄生蜂の初期発生過程の観察 多胚性寄生蜂キンウワバトビコバチの胚子培養の経過をより正確に評価するため、in vivoにおける初期発生過程を調べた。その結果、卵割は他の多胚生殖昆虫の場合と同様、全割によりおこなわれ、産卵2ー3時間後に2細胞期、3ー4時間後に4細胞期、4ー5時間後に8細胞期のとなり、24時間以内に桑実胚となった。その後桑実胚は分裂を開始し、産卵3ー4日後にはpolygerm(多胚)が形成された。 2.2細胞期の寄生蜂卵の培養 昆虫細胞培養用培地の1つであるMGM450培地を基本培地とした培地約50種類を調整し、2細胞期卵を中心に培養条件の検討をおこなった。寄生蜂卵の寄主からの取り出し、およびその後の操作は全て今回睦導入した無振動型クリ-ンベンチ内でおこなった。こりにより物理的損傷の少ない状態で無菌的に卵を扱うことが可能となった。培地組成に関する検討の結果、1%以上のアルブミンは1細胞期、2細胞期から桑実胚に至るまでの発育に不可欠であった。アルブミンの種類としては血清アルブミンが最も効果が大きく、オバルブミン、コナルブミンはこれに劣り、ラクトアルブミンではむしろ毒性が認められた。また、桑実胚以降の発育には、培地の無機塩をDー20培地の無機塩、血清アルブミンを3%、糖類を0.25%ショ糖、PVPおよびFBS無添加、に修正することで良好な結果が得られた。さらに昆虫ホルモンを培地に加えることにより、約半数の桑実胚で多胚形成までの発育が認められた。
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