研究概要 |
研究計画に従い玉糸を購入し,玉糸節の発生間隔を調べ,節発生間隔分布を得た.その結果,非常に短い節発生間隔(1〜2cm)にモ-ドを持ち,また比較的長い間隔(400cm以上)で発生する節も無視できない確率で生じることが認められた.この節発生間隔分布をもとに,分布のあてはめを行い,節発生の共分散関数を求めた.この共分散関数を求めるに当たっては,赤池のギャップ過程(1956,1959),また嶋崎の落緒の理論(1961)を参考にした.玉糸の場合の共分散関数は,節発生を正規分布やガンマ分布などの周期性の強く現れやすい場合と異なり,糸上の任意の位置から十分離れた位置においても正の相関を取ることが知られた. つぎに,織布面上にとった任意面積内の節数の平均値と分散に付いてのモデルを考察した.すなわち,よこ糸を両側のミミで折り返す織り方と,片側のミミからのみよこ糸を打ち込むジェット・ル-ムによる織物について考察した.その結果,平均値は任意面積内に含まれるよこ糸の総長に節発生のインテンシティを乗じたものとなること,分散は任意面積内に含まれるよこ糸上の微小区間相互の節発生の共分散関数の和で表さることが知られた.このモデルをもとに,計算機上で節の発生パタ-ンと平均直ー面積,分散ー面積の変化についてシミュレ-ションを行った結果,平均値ー面積の関係は常に直線となること,分散ー面積の変化は節発生間隔分布と織幅に依存して,検査面積を変化させることにより大きく変動することが知られた.また,織密度(本/cm)の増加あるいは減少は検査面積の織丈方向への増減に相当することが知られた.平成3年度では,さらに節発生間隔についてデ-タを得て,節模様の発生パタ-ンと平均値ー面積,分散ー面積の変化について考察を行う.
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