研究概要 |
1.本学農場の飼料畑(多腐植盾黒ボク土)に生息するVA菌根菌の90%以上は、Glomus属であるが、その中の優占種(未同定、黄色壁、Gl.claroidesに酷似以下.gYと略)と、Gigaspora marganta(以下marと略)に対するダイズ,ヒヨコマメ,ササゲ,キマメ,ラッカセイの生育反応をγ線殺菌培地土壌で追った。りん肥決度がかなり高い(BrayIIーP50〜70ppm)培地条件下でも、VA菌根形成に伴う落葉抑制、稔実促進は顯著であり,同レベルの感染率下でのその効果はgY>marであった。 2.γ線殺菌した高肥決度の野菜畑土壌を用いて、りん施用を十分に行った条件下で.ダイズをポット栽培し、VA菌根菌(gY VAM)の存在の有型下における生育量,養分吸収量そしてxylemsap茎葉,莢実,根に含まれるサイトカイニン量の差異を追跡しつつある。生育ステ-ジに沿って5回試料採取を行い.現在分析途上であるが、得られた成果の現段階は次の通りである。 (1)生育量では、葉重においてVAM区が高く推移したが、地上部總重、莢重、根重にはVAM有無の差は殆んどみられなかった。落葉はVAM区が60〜70%低く、抑制がみられたが、稔実促進現象は今回は起らなかった。また、上位3葉の總クロロフィル含量には、VAM有無の差はなかった。 (2)地表面より4cm位置で茎を切断し、ガラスキャップを接績してxylemsapを10時間採取,その量は個体当り0.5〜4.5mlで莢実形成初〜中期に高かったが、その後低下した。5回試料分を合して、アスランサス,ベタシアニンBioassay法でサイトカイニンを定量した。xylemsap中のそれは、VAM区8.0×10^<ー7>,対照(nonVAM)区2.0×10^<ー7>M/lと両者で4倍の開きがあった。莢実部からの抽出部には共雑物の影響で正確な値が得られなかったが、ひと桁低い含量で、両者に差はなかった。 今後は、VAM形成に伴うサイトカイニンの盾,量とマメ作物の生育との因果関係を、より詳細に追究して行く予定である。
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