研究概要 |
1.我国の黒ボク土の特徴はA型腐植酸をもつことが第一の特徴とされてきている。前年度は常温振とう抽出法によるColor densityとMelanicindexによる簡易にA型腐植酸をもつ土壌を判別できた。本年度は全国各地約300点の土壌についてその有効性をさらに確認することができた。 2.またColor densityにより、A型腐植酸をもつ土壌を4つの型に細区分し、A型以外のものとあわせて、黒ボク土の腐植を5つに区分することが可能であった。 3.NMR(核磁気共鳴スペクトル),IR(赤外線吸収スペクトル)による構造解析からColor densityの値と化学構造には密接な関連が認められた。Color density(CD)の低い腐植酸は、低分子側鎖が多く,共役2重結合系は少ない。CDが高くなるに従って、低の子の側鎖部分は減少し、共役2重結合系を多く含むことが認められた。腐植化過程の進行は、共役2重結合系の発達ともいえる。 4.この構造的解析から、アルカリ常温抽出腐植の光学的特性(△logk,Color density,Melanic Index)による腐植の区分は、ほぼ確立したと考えられた。 5.土壌の微細形態については前年度は25×40^<mm>の薄片について行っていたが、今年度は50×70^<mm>に挑戦中であり、さらに80×100^<mm>についての準備をすすめている。現在の段階では微細形態からA型腐植酸をもつ土壌の特徴及びそ細区分との関連については明瞭ではない。しかし、今後より大きな薄片から得られる情報は量も質も飛躍的に向上し、それぞれの土壌の特徴を明確にできるものと期待している。
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