研究課題/領域番号 |
02660079
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 明徳 東京大学, 農学部, 助教授 (30125885)
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研究分担者 |
高木 正道 東京大学, 農学部, 教授 (50018339)
渋谷 勲 埼玉大学, 理学部, 教授 (60013306)
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キーワード | Yeast / Phosphatidylserine / Phosphatidylethanolamine / Saccharomyces cerevisiae / Phosphatidylserine synthase / Vacuole / Phospholipid / Biomembrane |
研究概要 |
1.膜脂質生合成の細胞増殖に及ぼす影響の分析結果 プラスミドYCpGPSSを導入したSaccharomyces cerevisiae cho1::LEU2株では、ホスファチジルセリン・シンタ-ゼをコ-ドする遺伝子CHO1がセントロメアベクタ-上にあって、GAL遺伝子発現制御系の支配下におかれている。この株を用いて、ガラクト-ス存在下にホスファチジルセリンの合成が行われているときと、グルコ-ス存在下にホスファチジルセリンの合成が抑制されているときとで酵母の生育を比較した。 (1)細胞の生存率を、マラカイトグリ-ンの細胞内への侵入の有無によって調べたところ、静止期に入るとホスファチジルセリンの合成のない菌では生菌の割合が約10分の1に低下した。 (2)ホスファチジルセリンの合成のない菌ではCa^<2+>などの2価金属イオンに対する感受性が上昇し、塩基性アミノ酸に対する感受性も上がっていた。これらは液胞機能に異常が生じていることを示している。ノマルスキ-微分干渉顕微鏡では液胞が観察できないなどの異常が認められた。これらの結果により、ホスファチジルセリンの存在が正常な液胞の動きに必要で、細胞の生育環境の変化に対する適応の際にホスファチジルセリンが液胞の正常な働きを通じて貢献していることが明かとなってきた。 2.ホスファチジルエタノ-ルアミン合成変異株とその利用 CTP:エタノ-ルアミンリン酸・シチジリルトランスフェラ-ゼ欠損変異株を初めて分離した。この株ではきわめて小量のホスファチジルエタノ-ルアミンしか合成されないので、性質の分析によってホスファチジルエタノ-ルアミン合成の環境適応における役割が明らかになると期待される。
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