研究概要 |
1。子襄菌ヒイロチャワンタケのレクチン[Aleuria aurantia Lectin (AAL)]について AALについては既にcDNAを得、大腸菌で発現に成功している[FEBS Let.250.153(1989)]。そこでAALcDNAの塩基配列を決定した[J.Biochem.,107,190(1990)]。更に大量に得られたAALより結晶を得て高次構造の解明を可能にすると共に、AALの蛋白質化学的性質を明らかにした[BBA,1076,187(1991)]。一方A・aurantiaでは、菌糸にはレクチンはほとんど存在せず、子実体を形体して初めて遺伝子が発現されることを、血球凝集反応による活性レベル、イムノ・ブロッティングによる蛋白質レベル、cDNAをプロ-ブとするmRNAのレベルで明らかにした。さらにAALcDNAをプロ-ブとするレクチン遺伝子の解析を行なったところ、菌糸と子実体ではAAL遺伝子の存在状態に違いがあることが示唆され、これが遺伝子発現の違いを反映している可能性が示された[農化誌、65、272(1991)]。 2。担子菌タモギタケのレクチン[Pleurotus cornucopiae Lectin(PCL)]について PCLについては、まずレクチンの精製・単離を行ない、レクチンを単一にまで精製した。このレクチンは分子量16、000のサブユニットの4量体として存在しており、その血球凝集活性は単糖では阻害されないが、ムチンによって強く阻害それる。またこのレクチンも子実体の形成と共に出現することが示された[投稿準備中]。またタモギタケにはレクチンを含まない株が存在することを発見し、その株にはレクチンに類似した蛋白質の含まれていることを明らかにした[農化誌、65、272(1991)]。
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