研究概要 |
1,エンド型キチン分解酵素の前駆体の単離・精製 (1)まず、昆虫脱皮における表皮キチン分解機構が同じ鱗翅目である蚕とタバコスズメガにおいて共通であるかを調べるため、キチン分解酵素の比較を電気泳動(discーPAGE,SDSーPAGE)後イムノブロッティング及び活性染色により行った。イムノブロッティングでは蚕のエンド型キチン分解酵素に対する抗体を用いた。活性染色は我々が開発した方法を用いた。その結果、両昆虫でエンド型エキソ型のキチン分解酵素がそれぞれ抗原性が類似していること、さらにエンド酵素の前駆体が存在していることが分かった。(Insect Biochem.に投稿予定) (2)つぎに、エンド型キチン分解酵素前駆体の単離・精製を、5齢幼虫蚕の繭作成開始1日目の表皮を用いて行った。ホモジナイズ後、硫安分画、Sephacryl Sー200によるゲル濾過により分子量約200kDaの前駆体を得た。 2,前駆体の活性化因子の単離・精製 蚕5齢幼虫の繭作成開始3日目の表皮から、1で精製した前駆体を活性化する因子を検索した。硫安分画、DEAEーCellulofine、Cellulofine GCLー2000ーmにより分量約100kDaでプロテア-ゼ活性を持つ活性化因子を得た。 3,前駆体活性化反応の解析 2で精製した活性化因子を用いて1で精製した前駆体の活性化反応を行った。前駆体の活性化反応は、SDSーPAGEとゲル濾過による分子量変化と活性測定及びイムノブロッティングにより追跡した。その結果、分子量の低下にともないエンド型キチン分解酵素の活性出現が見られた。また、活性化因子の代わりに牛トリプシンを用いたとき同様に前駆体の活性化が見られた。(Agric.Biol.Chem.に投稿予定)
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