研究概要 |
加水分解酵素であるβーキシロシダ-ゼは一般に縮合・転移作用が強いので、この酵素を用いてキシロオリゴ糖を合成することを試みた。また、従来と異なり、加水分解酵素の基質特異性を縮合反応の面から解析することを試みた。そのためには、各種キシロ2糖の分離同定と、この他酵素反応と比較するために酸触媒による縮合反応についても検討を行った。その結果は、以下のようである。 1.キシロオリゴ糖の分離同定および分析 生成するオリゴ糖としては9種類が考えられる。これらの分別定量について検討した結果、OVー1701キャピラリ-カラムによるガスクロマトグラフィ-が最適であることを見い出した。このクロマトグラムには11ケのピ-クが出現した。このうち9種のオリゴ糖については同定できたが2ケのピ-クについては未同定である。 2.各種起源のβーキシロシダ-ゼ(粗酵素)によるキシロ-スの縮合・転移反応 5種類の糸状菌から得た粗酵素液を用いて生成するオリゴ糖を調べたところ、βーキシロシダ-ゼには、すべてのβーキシロ2糖を生成するタイプとβー1,4結合を特異的に生成するタイプの2種類があることが明らかになった。また、前者のタイプの反応平衝時の相対的糖組成は酸縮合反応における平衝時の糖組成と同じであった。 3.キシロ-スの酸触媒による縮合反応 温度60〜80℃、1N硫酸の条件で反応平衝に達するまで長時間反応を行った。その結果、平衝定数に対する温度の影響は殆どなく、9種の2糖の平衝定数は0.45〜0.02の範囲となった。平衝時における各糖の生成量は αー1,4>αー1,3>αー1.2〓βー1.4>βー1,3>βー1,2>ααー1,1>αβー1,1>ββー1,1となった。
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