研究概要 |
数種類の糸状菌のβ-キシロシダーゼを用いてキシロースの縮合反応を行い、縮合反応におけるβ-キシロシダーゼの性質を明らかにすること、また、キシロースと生成したキシロ2糖間の平衡状態を動力学的に解明することを目的とした。 1.粗酵素による縮合反応 Aspergillus nigerの酵素を用いた場合、すべてのβ結合のキシロ2糖を生成することが明らかになった。そこで、ほかの糸状菌についても検討した結果、生成するキシロ2糖の組成から、β-キシロシダーゼを“Broad specific enzyme"と“β β-1,1-、β-1,4-Xylodisacchaeidespecific enzyme"に分類することが出来た。 2.酵素の精製 二つのタイプの代表として、Asperbillus nigerとM.pulchella β-キシロダーゼを精製し、既報のデータとその性質を比較した。M.pulchella β-キシロシダーゼはM.pulchella var.sulferaと良く似た性質を示したが、A.nigerは既報のデータよりも温度安定性が10℃高かった。 3.縮合反応のシミュレーション A. niger と M.pulchella の精製酵素を用い、キシロースと5種類のキシロ2糖間に縮合反応と加水分解反応のみを考慮した反応モデルを想定した。そして、平衡定数、縮合および加水分解反応速度定数を求め、各キシロ2糖生成の経時変化をシミュレートした。その結果、キシロース間の結合では1,4-結合が生成し易いのに対し、グルコース間の結合では生成しにくいことが、また、A.niger の場合には転移反応も関与しているものと考えられた。さらに、高濃度キシロースにより加水分解が強く阻害されていることが明らかになった。 4.酵素法によるキシロースの定量法の開発 グルコースオキシダーゼを含む市販試薬を用いて、多量のキシロビオース存在下の少量のキシロースの定量法を確立した。
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