Pseudomonas sp.no.12の生産するムコ多糖加水分解酵素によるムコ多糖(MPS)分解活性のイオン強度感受性とイオン強度に対応するMPSの立体構造変化との関係についてCanal Isoelectric Focusingで完全精製した酵素及び精製MPSをさらにGPCにより分子サイズで分画分取し重合度が限定されたMPSを使用し以下の知見が新らに得られた。1.MPSはイオン強度に対応しその立体構造が変化する。蒸留水中ではランダムコイル状を示し、イオン強度が増すに従いよりパックされ10mM NaCl付近から異なる傾きでパックされ50mM NaCl以上のイオン強度でそのサイズ、形状が一定となると考えられた。2.MPS分解酵素によるMPSの加水分解活性を環元力増加でみると10mM NaCl付近まではイオン強度の増加に対応し急激に減少した。これを種々プロットし解析した結果阻害剤であるNaClは酵素ではなく基質の多糖に作用する結果阻害が起きることが示された。3.分子サイズで分画したMPSを基質として酵素活性を環元力増加でみると、分子量50万及び5万のMPSはNaCl無添加では反応初期から環元力が増加したが10mM NaCl存在下では約20分、50mM NaClでは約60分間は環元力増加が殆んど見られなかったが、そのあとNaCl無添加と殆んど同じ速度で環元力が増加した。一方分子量1万のMPSでは10mM NaCl存在下でもNaCl無添加と同様反応初期から環元力が増加し、50mM NaCl存在下では20分後から環元力が増加した。4.HPLCでの反応生成物の経時変化の結果MPSは高イオン強度下ではまず分子量1ー2万位に切断されその後2 repeating unitsついで1 repeating unitのオリゴ糖が得られるという結果を得た。以上の結果はイオン強度の増加によりMPSが特定の立体構造をとるためランダムコイル状に比ベ酵素感受性部位が極めて減少したことを示すと考えれる。また分子量1万以下のMPSでは特定の立体構造をとれたとしても安定してはとれない為酵素感受性部位がそれほどは減少していないと考えられた。
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