研究概要 |
(1)ATP依存性ヒダントイナ-ゼ:土壌分離菌Pseudomonas putidaの生産するヒダントイン類に特異的なアミドヒドロラ-ゼを結晶状に単離し,本酵素がアミド結合の加水分解にATP,Mg^<2+>,K^+を要求すること,反応生成物としてNーカルバモイルーLーアミノ酸,NH_3,CO_2,ADP,Piを与える新規な反応を触媒する酵素であることを証明した。また,反応の機構についても検討し,基質のリン酸化反応を中間反応として反応が進行することを推定した。本酵素の利用法についても検討し,本酵素を著量含有する菌体を用いると,各種のLーアミノ酸のNーカルバモイル誘導体が容易に合成できること,及び本酵素は血清または尿中のクレアチニンの定量用酵素としても有用であることを示した。 (2)Nーカルバモイルアミノ酸アミドヒドロラ-ゼ:ヒダントイナ-ゼ反応の生成物であるNーカルバモイルアミノ酸を脱カルバモイル化し,光学活性アミノ酸へと導く反応についても検討し,従来知られていなかったNーカルバモイルーDーPーヒドロキシフェニルグリシンに特異的に作用するアミドヒドロラ-ゼを土壌分離細菌から精製・単離し,その諸性質を明らかにした。本酵素は,高い耐熱性を示すことが特徴的であり,DーPーヒドロキシフェニルグリシンをはじめ,各種の芳香族Dーアミノ酸の生産に有用な酵素と考えられる。 (3) (1),(2)に生代内代謝上関連があると考えられるヌクレオシドの酸化酵素を見い出した。本酵素を精製単離し,その諸性質を明らかにした。 (4)光学活性アミン類の生産:Pseudomonas putida Scー2之生産する新規なアリルアシルアミダ-ゼを発見し,その諸性質を明らかにした。本酵素は,各種の芳香族アミン類の光学分割に有用であることを示した。
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