研究概要 |
ヘキシュ-ロ-スリン酸シンタ-ゼは細菌のC_1化合物代謝の中心の酵素として重要であるばかりでなく,炭素・炭素結合形成反応を触媒する酵素で,生物進化の観点から炭酸固定を触媒するリブロ-スビスリン酸カルボキラ-ゼとの関連が指摘されている. 本年度の研究では,この酵素の触媒機能の最大の特徴である,位置特異的な増炭反応に着目し,^<13>Cホルムアルデヒドからの安定同位体標識化合物の合成を行った.酵素源としては偏性メタノ-ル資化性菌であるMethylomonas aminofaciens77aを用いた.この細菌のメタノ-ル生育菌には,ホスホリボイソメラ-ゼ,ヘキシュロ-スリン酸シンタ-ゼ,ホスホヘキシュロイソメラ-ゼ,およびホスホグルコイソメラ-ゼを高い活性でもっており,この無細胞抽出液を酵素源として用いると,リボ-スー5ーリン酸と^<13>Cーホルムアルデヒドから^<13>Cー標識フルクト-スー6ーリン酸とグルコ-スー6ーリン酸を合成することができた.しかし,細胞抽出液にホルムアルデヒドが存在するため,同位体標識の純度が低下することがわかったので,ヘキシュロ-スリン酸しンタ-ゼおよびホスホヘキシュロイソメラ-ゼを部分精製し,これに市販のホスホリボイソメラ-ゼを加えて反応を行い,高純度の^<13>Cーフルクト-スー6ーリン酸を得ることができた.ここで問題となった点は,反応平衡のために,ホルムアルデヒドが完全に消費されない点であった.この反応では原料として最も高価な^<13>Cーホルムアルデヒドに対する収率が重要であるので,リボ-スー5ーリン酸の濃度を上げて反応平衡を右側に偏らせることを試み,ボ須スー5ーリン酸の濃度を上げて反応平衡を右側に偏らせることを試み,添加したホルムアルデヒドの86%をフルクト-スー6ーリン酸に変換することができた.さらに,ホルムアルデヒドは酵素系にとって毒性が高いため,50mMのホルムアルデヒドを15分おきに添加することにより,90分間の反応で,203mMの^<13>Cーフルクト-スー6ーリン酸の合成に成功した.
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