(1)メタノ-ル資化性酢酸菌Acetobacter methanolicusのメタノ-ル酸化系呼吸鎖とエタノ-ル酸化系呼吸鎖:本菌はグリセロ-ルを炭素源として培養すると強いエタノ-ル酸化活性を、メタノ-ルで培養するとメタノ-ル酸化活性を示す。このエタノ-ル酸化系呼吸鎖は再構成実験から通常の酢酸菌であるAcetobacter acetiとGluconobacter suboxydansと同様に、アルコ-ル脱水素酵素(ADH)、ユビキノンそしてユビキノ-ルオキシダ-ゼであるチトクロムb0から成っていることが示された。一方、メタノ-ル酸化系呼吸鎖はエタノ-ル酸化系とは全く別の呼吸鎖で、メタノ-ル脱水素酵素(MDH)、チトクロムCそしてチトクロムCオキシダ-ゼであるチトクロムc0から成ることが示された。 (2)A.methanolicusのMDHの構造と機能:メタノ-ル培養菌から2種類のMDHが精製された。一方のMDHは通常のメチロトロ-フにみいだされているα_2γ_2構造を有していたが、もう一つはα_2βγ_2構造をもつ新規な酵素で、常に全体の20〜30%がこの形態でペリプラズムに存在することが示された。また、クロマトグラフィ-によりβサブユニットだけの画分も得られることよりα_2γ_2酵素は調製時にβサブユニットを解離した可能性が示された。 (3)酢酸菌ADHの構造と機能:A.methanolicusのグリセロ-ル培養菌の細胞膜から精製されたADHはG.suboxydansやA.acetiのADHと同様に三つのサブユニットから成り、そのサブユニットIにはPQQとヘムCが、サブユニットIIには二分子のヘムCが存在することが示された。G.suboxydansのADHはサブユニットI IIIとサブユニットIIに解離することができ、前者のサブユニットだけでも酸性域での酵素活性を示したが、そのサブユニットI IIIにサブユニットIIを再構成することで本来の酵素活性が回復することが示された。
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