研究概要 |
微生物起源新規抗ハブ毒剤を開発するために、本年度は以下の研究成果が得られた。 1.ハブ毒出血因子HR2bの全一次構造決定 カルボキシメチル化HR2bをBrCN分解、トリプシン、リジルエンドペプチタ-ゼ、V8プロテア-ゼ消化により断片化した。生成した各ペプチドをセファデックスを用いるゲル濾過、イオン交換樹脂および逆相カラムをによる高速液体クロマトグラフィ-を行うことにより精製した。さらに、各精製ペプチドのアミノ酸組成、アミノ酸配列を、それぞれアミノ酸分析計、気相法プロテインシ-ケンサ-を用いて決定した。各ペプチドのアミノ酸配列を組み合わすことによりHR2bの全一次構造を決定することができた。 HR2bは204個のアミノ酸から構成されていて、分子量は23,500、糖を含まない金属タンパク質であった。同出血因子に存在する6個のシステイン残基は全てジスルフィド結合を形成していた。すなわち、HR2bには遊離のシステインは存在しなかった。HR2bの一次構造には金属プロテア-ゼの亜鉛結合部位のコンセンサス配列が存在し、同出血因子がプロテア-ゼ活性を有することが示唆された。このことは、実際にアゾアルブミン、アゾカゼイン、ジメチルカゼインを基質としてプロテア-ゼ活性測定することにより確認できた。 2.マング-ズ抗出血因子の作用機構解明 HR2bの有するプロテア-ゼ活性を利用してマング-ス抗出血因子の作用を調べたところ、マング-ス抗出血因子はHR2bの出血活性は阻害するが、プロテア-ゼ活性は阻害しないことがわかった。この結果は、プロテア-ゼ活性と出血活性が相関していないことを示してをり、今後さらに検討する予定である。
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