研究概要 |
微生物起源新規抗ハブ毒剤を開発するために、平成2年度及び平成3年度に渡り研究を行ない以下の成果を得た。 1.ハブ毒出血因子NR2bの全一次構造決定(平成2年度) ハブ毒出血因子HR2bの一次構造をタンパク質化学的に研究し、その全構造を決定した。その結果、HR2bは204個のアミノ酸から構成されていて、分子量は23,500、糖を含まない金属タンパク質であることがわかった。同出血因子に存在する6個のシステイン残基は全てジスルフィド結合を形成していた。すなわち、HR2bには遊離のシステインは存在しなかった。HR2bの一次構造には金属プロテア-ゼの亜鉛結合部分のコンセスサス配列が存在し、同出血因子がプロテア-ゼ活性を有することが示唆された。このことは、実際にアゾルブミン、アゾカゼイン、ジメチルカゼインを基質としてプロテア-ゼ活性測定することにより確認できた。 2.マング-ズ及びハブ抗出血因子の作用機構解明(平成3年度) HR2bに対するこれらの抗出血因子の作用を調べたところ、両抗出血因子ともHR2bのプロテア-ゼ活性を阻害すること、及びその阻害は出血活性に対する阻害と関係していることが分かった。さらにその阻害機構を超遠心分析、分光学的分析、高速液体クロマトグラフによる解析を行い、従来知られているプロテア-ゼ阻害剤と機構が異なることを明らかにした。 3.微生物起源抗出血因子の検索(平成3年度) 各種土壌から約500種類の放射菌を単離した。これらの菌の培養濾液についてHR2bに対する阻害を調べたところ、阻害活性を示す菌を検出することはできなかった。
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