研究概要 |
1.Phomopsolide Bの合成 Phomopsolide Bは,ニレと共棲関係にあるカビの生産するジヒドロピラノンであり,ニレにとっては,ニレノキクイムシに対する外因性摂食阻害物質である。この化合物の改良合成にあたっては,DーGlucoseから誘導した(4S,5S,2E)ー4,5ーdihydroxyー2ーhexenal acetonideとethyl 4ー(2ーtetrahydropyranyloxy)ー3ーpyrrolidinoー2ーbutenoateとの反応(ジヒドロピラノン骨格形成反応)の条件を検討することにより,収率を64%に上昇させることができた。次のエナミン部分の還元およびアミンの脱離についても,2段階でかつての36%から,64%へと改良することができた。最終生成物のPhomopsolide B(3'S,4'S,5S,6S体)のMS,NMR,IRなどのスペクトルのみならず,融点(96ー97℃)や天然物との混融試験(96.5ー97℃)でも,天然物と完全に一致した。また,同時に得られた立体異性中間体から,Phomopsolide Bの立体異性体(3'S,4'S,5R,6R体)を合成した(比旋光度,-174°,メタノ-ル)。 2.Aspyroneの合成における立体選択性についての検討 Aspyroneの合成の最発見した立体選択的エポキシド形成反応について,モデル化合物を用いて,その反応の一般性について検討を加えた。
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