平成2年度において、アサガオ芽生えの子葉と篩管液中のジベレリン(GA)の分析において、GA_1、GA_<19>、GA_<20>が検出された。また、これらのGAsの濃度は子葉中の濃度の約10%に過ぎないこと、篩管液中のGAsの主成分であるGA_<19>の濃度が日長による制御を受けていることが明かとなった。これらの結果を踏まえ、今年度は、トリチウム標識GA_1、GA_<20>、dihydroーGA_<19>を子葉に投与し、それらの移行・代謝と日長との関連を追究した。連続光、あるいは8h暗期の日長で栽培したアサガオ芽生えの子葉の一方に紙ヤスリで傷をつけ、標識GAs(3.3KBq)の水溶液(0.2%Tween20)20μ1を投与し、一定時間毎にサンプリングし、処理子葉、非処理子葉、葉柄、胚軸、上胚軸に分け、抽出し、抗体を用いて部分精整、HPLCによる展開の後、イムノアッセイにより、GAsの同定を行った。配糖体については、酵素分解後、アグリコンの同定を行った。GA_1は日長条件に関係なく同様の移行パタ-ンを示した。すなわち、処理後5分で胚軸への移行が認められ、50分後には胚軸の放射活性はプラト-に達した。上胚軸への移行は極微量ながら、3時間後から徐々に増加したが、これらはほとんどGA_<8->グルコシドに変換されていた。GA_<20>は、処理後5分で胚軸および上胚軸への移行が認められ、胚軸への移行は暗処理により促進されるのに対し、上胚軸への移行は連続光の方が促進された。また、GA_<20>は胚軸においては移行初期ではGA_<20>として検出されたが、50分以降ではGA_<29>およびGA_<29->グルコシドに変換されていった。上胚軸にも5分後から認められ、初期はGA_<20>が多く、その後GA_1、GA_<29>、GA_<8->およびGA_<29->グルコシドに変換されていた。GA_<19>もGA_<20>と同様の傾向を示し、GAsの成長点への移行は、主として、活性型GAであるGA_1の前駆体のGA_<20>あるいはGA_<19>として行われていることが示された。
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