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植物性タンパク質は動物性タンパク質に比べると経済性、供給量の点で優れているが、栄養性、機能特性の点で劣っている。しかし、植物はコレステロ-ルを含有していない。しかも、大豆タンパク質は血中コレステロ-ル値を低下させることが知られている。そこで、成人病予防のために、動物性タンパク質に匹敵する栄養性、機能特性を持つ高品質なタンパク質を産出する大豆植物体を開発する基盤を確立することを目的として、本研究では大豆タンパク質の主成分であるグリシニンをタンパク質工学的に高品質化し、それをコ-ドする改変遺伝子のタバコ植物体における発現挙動を解析する。本年度の成果は以下の通りである。
1.グリシニンの高品質化:グリシニンの構造的特徴と構造・機能特性相関関係を踏まえて可変領域の欠失、4残基のメチオニンが連続したペプチドの可変領域への挿入、ジスルフィド結合の除去などを施こした改変グリシニンに対する各種発現プラスミドを構築した。それらを大腸菌で発現させ、各種グリシニンの構造形成能を超遠心分析によって解析した。その結果、改変グリシニンのいくつかのものが構造形成能を持っていた。また、構造形成能を持っているものの多くが期待通りに大豆グリシニンよりも優れた機能特性を示した。
2.酵母発現系のタンパク質工学への利用性:酵母で発現したグリシニンは不溶性であるが、可溶化すると構造形成能を示した。つまり、酵母発現系もタンパク質工学に利用できる。また、発現タンパク質が不溶化するので、構造形成に不都合のある改変グリシニンも蓄積させることができるという利点があることを見い出した。
3.次年度の展開:今年度に構築した高品質なグリシニンをコ-ドする改変遺伝子をタバコに導入し、その発現挙動を解析することにより、高品質な大豆植物体を開発する基盤を確立する。
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