1.スダチ(Citrus sudachi)果汁の揮発性成分。スダチ果汁から連続蒸留抽出法により輝発成分を分離、GCおよびGC/MSにより炭化水素系化合物26種、含酸素系化合物74種を同定した。果汁の香気成分としてデカナ-ル、ドデカナ-ルおよびオクチルアセタ-トなどの直鎖状アルデヒドおよびエステル化合物がスダチ果汁の甘い香りに寄与することを明らかにした。 2.食品香気の匂い特性評価法の検討。近縁関係にある国産ネ-ブル5品種、ワシントン、福本紅、大三島、白柳、森田の果皮精油の分析結果を用いて、香気特性の評価法について検討した。3点識別法を用いた官能検査の結果、大三島ー森田、白柳ーワシントンの香気が類似し、福本紅は異なっていた。精油のGCパタ-ン類似率を求めた結果、大三島ー森田は0.963、白柳ーワシントン0.951であった。また、減次パタ-ン類似率から5品種間の精油香気に影響する成分を明かにした。精油成分毎の匂い寄与率を検討するため、オ-ダ-ユニットを対数値で表し、これを用いて図形化することにより、各成分の匂い寄与度合を明らかにした。 3.香酸柑橘の果皮精油の匂い特性の比較。香酸柑橘類の果皮精油の香気特性を評価、比較するため、レモン、ライム、スダチ、ユズ、カボスの精油成分を分離、同定した。レモン72成分、ライム76成分、スダチ69成分、ユズ71成分、カボス77成分を同定した。各精油の香気に重要な含酸素画分の香気特性をオ-ダ-ユニットの対数値により評価し、香気に大きく寄与する成分を明かにした。 4.匂いセンサ-の応用。8種類の匂いセンサ-を用い、36種の化合物をモデルとして、センサ-の相対感度と香気特性の関係を検討した。その結果をケモメトリック的手法によって分類した。センサ-が化合物の物理化学的性質、香気特性の分類に利用の可能性を認めた。
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