研究概要 |
1.Bacillus cereus JCM 2152株より分離した温度感受性変異株tsー4のDNA複製を同調し、同調開始時に[ ^<35>S]メチオニンを添加し、これより10,40,90分目に芽胞形成培地に移して同調開始より2時間目まで培養した。各菌体からクロモソ-ムを調製し、二次元電気泳動を行い、de novoに合成されるクロモソ-ム蛋白質と芽胞形成の関係を調べた。その結果、芽胞形成のsensitive stageである40分目に増加した蛋白質17種、減少した蛋白質1種を検出した。 2.B.cereusのDNAをMarmurらの方法を改良した方法で調製し、これをセルロ-スに結合し、DNAーセルロ-スカラムを調製した。同調培養開始から10,40,90分目に芽胞形成培地に移して同調開始より2時間目まで培養した菌体を超音波破砕し、無細胞抽出液からB.cereus DNAセルロ-スカラムを用いて調製したDNA結合蛋白質の二次元電気泳動を行った。また、対数期及び対数期の菌体を芽胞形成培地に移して2時間培養した菌体からも同様にDNA結合蛋白質を調製し、電気泳動を行った。その結果、芽胞形成のsensitive stageである40分目と対数期の菌体を芽胞形成培地に移して培養した後の両方で増加した蛋白質14種、逆に減少した蛋白質1種を見出した。 3.複製開始から新たに合成させる蛋白質、DNAセルロ-スカラムで調製したDNA結合蛋白質について比較した結果、分子量59K付近の蛋白3種と46K付近の2種の蛋白質は、芽胞形成率の高い時期のクロモソ-ム、DNAセルロ-スカラムで調製した蛋白質からのみ検出された。これら5種の蛋白質には、分裂期のセプタ形成を阻害するリプレッサ-、芽胞形成期に特有のアクチベ-タ-、RNAポリメラ-ゼのσ因子などが含まれる可能性が考えられる。現在、それぞれ精製し、結合するB.cereusの制限酵素断片を検索中である。
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