研究概要 |
1.農林水産省野菜・茶業試験場より新たに分与されたチャ赤葉枯病菌Glomerella cingulata No.8903株を大量に培養し、培養液からチャ輪斑病菌の生育を抑制する物質を探索したところ、培養濾液の酢酸エチル中性区分に輪斑病菌の生育を抑制する物質が存在した。この区分をシリカゲルカラムクロマトグラフィ-(ベンゼンーアセトン)で精製したところ、ベンゼンーアセトン(95:5)に活性物質が溶出され、さらにHPLC逆相クロマト(ODS)で精製したところ活性物質が粉末状で得られ、nーヘキサンー酢酸エチルより無色針状結晶が得られた。元素分析,マススペクトルから分子式はC_<11>H_<12>O_4となり、 ^1H, ^<13>CーNMRスペクトル, ^1Hー ^1H, ^1Hー ^<13>C COSY NMRスペクトルなどの解析により、この物質をマイコトキシン生産菌であるPenicillum citreoーvirideの代謝産物として既に単離されていたcitreopyroneであると同定した.前年度に使用した静岡県茶業試験場より分与された菌株と代謝産物が異なっていることから、今後、茶園より分離された菌株のもつ病原性と代謝産物の関連性を研究すべきであると考えている。 2.(1)チャ輪斑病菌Pestalotia longisetaが生産し、赤葉枯病菌の生育に影響を与える物質を探索したが、顕著に生育を抑制、促進する物質は確認できなかった。 (2)平成2年度にチャ輪斑病菌の培養濾液酢酸エチル酸性区分にチャ葉に対し毒性を示す物質の存在を認めたが、単離・精製,化学構造解析の結果、これらの毒性物質が、succinic acid,gentisic acid,monomethyl succinate,phenylactic acidであることを明らかにした。
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