研究概要 |
1.樹冠測定試験プロットの測定と地上調査 (1)山形県東田川郡櫛引町所在の国有林60林班ぬ小班内に面積0.17haの試験プロットを設定した。同プロットは,林齢約90年のブナノキ二次林内の緩傾斜地に位置する。 (2)プロット内に生育している高木類の全立木について,樹種,胸高直径,樹高,結実の状況を調査した。 (3)さらに,プロット内の高木類の立木位置を測定し,立木位置図を作成した。 (4)カメラのレンズを垂直上方に向け,プロット内の林冠の地上写真を5m間隔で撮影した。 (5)プロット内の地表および地上1.5mの位置の相対照度を5m間隔で測定した。1991年に予定されている間伐の実施によって,林内照度がどのように変化するかを比較するために行ったものである。 2.ブナ研究林分の測定 山形大学演習林内に既設の研究林分の毎木調査を行った。さらに,今後の間伐計画に資するため,4通りの間伐方法についてコンピュ-タによるシミュレ-ションを行って比較検討した。 3.得られた知見 (1)測定試験プロット内の地表の相対照度は,ほとんどの地点において5%以下であり,閉鎖したブナノキ二次林の林床が非常に暖いことが明らかになった。 (2)このような林床には,樹長30cmを超えるブナ稚樹が見当らず,更新のためには間伐が必須である。 (3)ブナの結実量は,林冠に適度の空隙があるときに最大になると推定された。
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