平成4年度は、平成3年度までの成果をふまえ、今後のプロトプラスト研究の発展の可能性を検討するため、他の日本産広葉樹についてプロトプラストの単離の可能性をチェックした。その結果、ケヤキ、オノオレカンバ等についても、これまでに明らかにした酵素組成が適用可能であり、今後これら樹種に関するプロトプラスト培養の可能性を指摘することが出来た。 さらに、現在熱帯林造成において主要な造林樹種であるアカシアマンギウムについてもプロトプラスト単離の可能性を検討した。まず酵素組成について、クヌギ等に用いた組成をベースにセルラーゼ“オノヅカ"RS、ペクトリアーゼY-23、ドリセラーゼ等の量及び比を変えたいくつかについて検討し培養中のシュートの本葉からプロトプラストを単離するための、最適条件を明らかにした。次いで、プロトプラストの単離に用いる材料組織いついて調べた。培養植物の本葉、仮葉からのプロトプラストの収量を比較したところ、仮葉からは全くプロトプラストが得られなかった。また、発芽間もない芽生えからの単離では、子葉からもプロトプラストが得られ、このプロトプラストを培養した結果コロニー様のものの形成が認められた。更に胚軸由来のカルスからも高能率でプロトプラストが得られた。 このように温帯性樹種において確立された方法が熱帯樹種にも適用可能であることが明らかにされ、今後研究が発展する可能性が示唆された。
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