我国の主要広葉樹であるカバノキ科およびブナ科の樹種についてプロトプラストの単離方法の開発を中心に行い培養方法についても検討した。 その結果カバノキ科ではシラカンバ、ミズメ、オノオレカンバ等においてプロトプラストの単離が認められた。材料として主に培養植物の葉を用い葉肉細胞のプロトプラストを得た。単離条件の酵素組成はセルラーゼ“オノヅカ"RSあるいはR-10、ドリセラーゼ、ペクトリアーゼY-23等の組み合わせが有効であった。しかし、材料組織の状態により酵素液の浸透圧を調節する必要があった。 ブナ科ではクヌギを材料に、培養シュート及び不定胚からのプロトプラストの単離を行った。いずれもプロトプラストの単離はセルラーゼ“オノヅカ"RS及びペクトリアーゼY-23を組み合わせた組成酵素液で可能であった。しかし、収量やその後の培養については、不定胚を材料とすることが有効と結論された。不定胚由来のプロトプラストからはカルス再生に成功した。 ここで得られた知見を基に熱帯産アカシアであるアカシアマンギウムについてプロトプラストの単離実験を行った。その結果、シラカンバ、クヌギと同様の酵素組成をもってプロトプラストの単離が可能であることが明らかになった。 以上の様に多くの樹種においてプロトプラストの単離法を明らかにするとともにその培養の可能性を示唆することが出来た。
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