研究課題/領域番号 |
02660179
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山口 東彦 九州大学, 農学部, 助手 (10091381)
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研究分担者 |
坂田 功 九州大学, 農学部, 教授 (10038169)
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キーワード | フェノ-ル酸化酵素 / フェノ-ル類 / 脱水素重合 / 木質繊維 / 繊維間接合 / 剥離強さ / 滴下法 / 誘析膜法 |
研究概要 |
ペルオキシダ-ゼ(PO)のフェノ-ル脱水素反応を利用してバニリン酸(VA)にラジカルを生成させ、そのラジカルカップリング反応による木質繊維(Thermomechanical pulp、TMP)間接合が可能なことを昨年報告した。今年は、カワラタケの菌体外酵素であるラッカ-ゼ(LA)による脱水素重合物(DHP)生成による繊維間接合力の発現を検討し、さらにLAで前処理したTMP上にPOで生成させたDHPを沈着させることによる接合の改善の可能性について検討した。また、Double Disk Refiner Pulp(DDR狭)でファイバ-ボ-ドを製造し、脱水素重合反応のボ-ド製造への応用の可能性についても検討した。その結果、LAによる滴下法でのVAーDHP生成の至適pHは約4.6で、最大層間剥離強さ(PS)は、コントロ-ルの約4倍に向上した。カテコ-ル(CA)の場合至適pHは約4.6で、最大PSはコントロ-ルの約2.3倍に向上した。ミモザタンニン(MT)の場合至適pH約6.5で、VAやCAより高く、最大PSはコントロ-ルの約4.4倍でとなった。タンニン酸(GT)の場合至適pH約5.5で、最大PSはコントロ-ルの約3.6倍を示し、以上のいずれの場合にもDHP生成量とPSの傾向とは一致した。以上の結果からMTやGTのような多量体でも、滴下法でLAによりDHPを生成することで繊維間接合力が向上することがわかった。また、LA前処理T執P上へPOで透析膜法によりのVAーDHP、CAーDHPを沈着させることによってPSが向上した。しかし、TMPをLA前処理するだけではPSは向上せず、また晒TMP上へのDHP沈着によるPSの向上も小さかったことから、LAによる前処理はTMP中リグニンを活性化し、その活性化TMP中リグニンとTMP上に沈着したDHPのラジカル間の架橋反応を促進し、木質繊維間接合力を向上させたと考えた。ファイバ-ボ-ドへのこの酸化反応の応用の可能性は、DDRPのLA前処理による効果は小さいものの、POによる前処理では接合力の向上が大きいことがわかった。
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