研究概要 |
◎オオウズラタケについて 1.ワット数の異なる蛍光灯(4ー10 W)を一基設置した恒温器を用いて振とう培養して培養液から粗酵素を調製し,キシラナ-ゼ活性(至適pH4.0ー4.5)を測定したが,それらの活性には大きな差が認められなかった。 2.菌体外のキシラナ-ゼ活性は,グルコ-スを添加したJIS A 9302(木材防腐剤の防腐効力試験方法)に指定されている培地(以下,JIS培地)では遮光下より10W蛍光灯照射下の方が著しく高くなったが,グルコ-ス無添加のJWPA規格第1号(塗布・吹付け・浸漬用木材防腐剤の防腐効力試験方法)に指定されている培地(JWPA培地)では抑制された。 3.振とう培養における菌体外のキシラナ-ゼ活性は,遮光下ではグルコ-ス濃度の影響をほとんど受けなかったが,グルコ-ス濃度が2ー4%では遮光下より10Wの蛍光灯照射下の方が著しく高かった。 4.木材腐朽に関与する他の酵素(CMCase,マンナナ-ゼ,βーグルコシダ-ゼなど)と光の関係については現在検討を進めている。 5.JIS培地を含浸させたスギ辺材木粉培地を用いて10Wの蛍光灯下と遮光下で培養し,菌体外粗酵素と細胞壁粗酵素を調製して,数種の有色物質を基質として脱色酵素の活性を測定した。その結果,活性が認められたのはABTSを基質とした時だけで,その活性は両粗酵素で強い活性が認められたが光照射下と遮光下でほぼ同一であった。 ◎カワラタケについて 腐朽試験を実施して,JIS培地とJWPA培地では木材腐朽が光により促進されないことを明らかにした。
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