本年度は、酸素透過性のほとんど無いビニ-ル板、アクリル板およびタイゴンチュ-ブを用いて、実験した。 1.魚体への皮膚からの酸素摂取量測定用ビニ-ル製チャンバ-の装着は、全酸素摂取量を7%増大させただけだったので、装着が魚に与えた影響は小さかったと考えられた。 2.魚体にビニ-ル製のチャンバ-を装着し、水の動きが皮膚表面からの酸素摂取に及ぼす影響を見た。皮膚からの酸素摂取量は、見掛け上の流速0.5cm/s以下で依存し、減少した。 3.次に魚体から分離した皮膚を用いて、アクリル製チャンバ-で皮膚からの酸素摂取量を測定したところ、値は分離しない時より少し低いが、8時間変化しないことが解かった。 4.魚体から分例した場合、皮膚からの酸素摂取量は、見掛け上の流速に1.2cm/s以下で依存したが、殊に0.15ー0.3cm/s以下でその傾向が著しかった。 5.魚体から分離した場合、皮膚からの酸素摂取量は、環境酸素圧230mmHg以上で一定に(3.8nmol/cm^2/min)なったが、それ以下では、酸素圧に強く依存し、減少した。 6.魚体から分離した皮膚の両面を換水したところ、外側(表皮側)だけを換水した時(2.8nmol/cm^2/min)より高い値(3.7nmol/cm^2/min)が得られた。 7.魚体から分離した皮膚の外側(表皮側)を常酸素圧(156mmHg)に保ち、内側(真皮側)を約9mmHgの生理食塩水で換水して、酸素透過性を調べた。生理食塩水の酸素分圧は8.5mmHgから7.7mmHgに低下した。これは、表皮側から侵入する酸素は、皮膚により消費され、皮膚を透過できないことを示唆している。
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