1.本研究では、有用藻類の増養殖種苗を得るため、培養が困難な胞子からの生活史の1循環によらず、発生のある段階を単藻培養しその組織培養を継続して、適期に基質に再生付着させ種苗とする方法の開発を目的とした。 2.永年組織培養が可能な藻類としては、発生型が糸状型や盤状型である種と同化系を有する種などがあった。それには多くの藻類の種が含まれる。 3.本研究で、組織培養で種苗が得られた藻類には、糸状発生型で緑藻のミル類、褐藻のハバノリ、セイヨウハバノリ、カヤモノリ、フクロノリ、カゴメノリがあり、盤状発生型としては紅藻のツルツル、ムカデノリ、ベニスナゴ、マツノリ、マフノリなどがあった。 4.さらにこれらの種苗を用いて、海で養殖試験を行った結果、緑藻のミル類、褐藻のハバノリ、セイヨウハバノリ、カヤモノリ、カゴメノリ、フクロノリ、紅藻のツルツル、ムカデノリ、ベニスナゴ、オオムカデノリなどで多数の発生体が得らせ、天然に近い大きさに成長させることができた。しかし、潮間帯に生育する種は発生が不良であった。また、池の試験で、淡水紅藻のオキチモズク、シマチスジノリで試験養殖に成功した。 5.以上の結果から、緑藻のミル目、褐藻のナガマツモ、カヤモノリ、ウイキョウモ、コンブ目、紅藻のウシケノリ、ウミゾウメン目のような糸状発生型、紅藻のダルス、スギノリ、カクレイト目のような盤状発生型をとる多くの藻類で、組織培養が可能で、その組織再生により増養殖種苗が得られるものと考察される。
|