研究概要 |
本年度初頭に本補助金によりオンラインデガッサ-を購入した。これにより本システムのクロマトグラムのSN比が改善され,再現性も向上した。 本年度は当初の計画通り,本システムにストリ-ムスプリッタ-をとリつけて溶出ピ-クの分取のためのタイミング設定を行った。その際,分岐路に流量計を設置する方法よりもマ-カ-(メチルレッド等)を用いてそのものの同時溶出を確認する方法の方が精度の高い分取ができることを見い出した。 本システムのグラジエント溶出法による分解能の改善に関しては予想通りとくにクロマトグラムの後半部において効果が見られた。またその際,カラム温度を0〜10℃の低温におくことによって著しく分解能が向上することを見い出した。 使用するクロマトカラムに関しては完全エンドキャッピング処理を施したODSカラムよりもある程度シラノ-ル基を残したODSカラムの方がクリティカルペア-の分離に威力を発揮することが明らかになった。 本システムを用いた実学的応用例としてイワシ油とカツオ雑油の脱ロウ工程中におけるトリグリセリドの分子種組成の変化を明らかにした。その際にイワシ油の脱ロウ処理が比較的容易なのに対してカツオ雑油ではなぜ困難をともなうかについて分子種パタ-ンの比較より検討し,カツオ雑油の方がイワシ油よりもトリグリセリド分子内に高度不飽和脂肪酸を1個しか含まない分子種が多い上に脱ロウを促進すると思われる分子種群すなわちトリグリセリド分子内に高度不飽和脂肪酸を含まない分子種やこれを2個以上含む分子種が少ないことが原因であることを見い出した。
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