研究概要 |
アルテミアへのEPA及びDHAの取り込み実験の際にいずれの形態の油脂がアルテミアに取り込まれ易いのかを検討した。nー3高度不飽和酸(nー3HUFA)含量が同じ4種類の形態の異なる油脂、TG、ME、EEおよびFFAを用いて栄養強化し、幼生アルテミアへの油脂の取り込みを比較した。その結果、幼生中の脂質およびnー3HUFA含量は、TG、ME、EE区で強化後24hで最高に達し、EE区で最も高い取り込みが見られた。ME、EE区のTG含量はTG区と変わらない値を示し、エステル型油脂は幼生中で速やかにTGに転換されることが示唆された。次にこれらの油脂で強化したアルテミアを用いて、イシダイおよびマダイ仔稚魚に対する餌料価値を調べた。生残率や活力試験の結果および魚体中のnー3HUFA含量がアルテミア中のnー3HUFA含量とよく相関し、nー3HUFAの取り込みが悪いFFA強化区では低い活力しか得られなかったのに対し、nー3HUFAの取り込みが優れたエステル型油脂、特にEEで強化したアルテミアを仔稚魚に与えた区で優れた飼育成績が得られた。この結果、アルテミアへの強化油脂の形態としてはEE型が優れていることが明らかになった。次に、マダイ稚魚におけるEPA及びDHAのFFAとしての効果と両脂肪酸の要求量を調べた。EPA,DHA各0.25%及び0.5%単用区を比較すると、明らかにDHA単用区で優れた成長と飼料効率を示したが、添加量を1%にすると両者の間に差はなく、各0.25%及び0.5%併用区と同様にいずれも最大の成長と飼料効率を示し、マダイ稚魚のEFA要求量はEPA単用区で飼料中1%、DHA単用区で0.5ー1%、EPA、DHA併用区で各0.25ー0.5%であるものと推察された。シマアジ稚魚も同様に試験を行ったところ、EFA欠乏飼料区では7日目より摂餌不良と斃死が観察された。DHA単用の場合には1.7%添加で最大の成長を示すとともに、DHAはEPAに比較して飼料効果が優れていること、0.8%以上のEPAの添加はかえって成長の低下を招くことがわかった。
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