研究概要 |
小田原漁港で水揚げされた新鮮なマイワシをフィレ-に加工し,これをCO_2およびN_2ガスで種々の比率(80:20,60:40,20:80)でガス置換包装したガス置換区試料,含気包装した対照区試料,およびガス置換区試料(CO_2:N_2=60:40)を貯蔵4日目に開封・含気包装し直した開封区試料について,それぞれ5℃貯蔵中の官能的変化ならびに微生物・化学的変化(好気性菌・嫌気性菌・乳酸菌の生菌数,VBN,TMA,K値,pHの変化)を調べた。 官能評価からみた鮮魚フィレ-のシェルフライフは,対照区で1〜1.5日,ガス置換区では約4日であった。一方,K値,VBNの変化には試料間に大きな差異は認められなかった。開封区の変化は対照区のそれと同じ傾向を示した。また,生菌数の変化は,好気性菌(BPG培地),嫌気性菌(ABCM培地,ガスパックシステム)とも対照区では指数的に増加し,7日目には10^7/gに達したのに対し,ガス置換区では貯蔵14日目においても10^4〜10^5/gであった。 生菌数測定に用いたBPG培地からの分離株388株について性状試験を行い,属レベルの同定を行った。その結果,対照区ではPseudomonas(80%)およびVibrio(20%)が優勢であったのに対し,ガス置換区ではAeromonas(70〜95%)が,また開封区ではPseudomonas(85%)およびAeromonas(10%)が優勢となった。なお,乳酸菌(LBS培地)は貯蔵10日目に,対照区で10^3/g,ガス置換区で10^5/gみられ,それらは主にLactobacillusであった。
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