研究概要 |
1.分離菌株の増殖に対するガス組成の影響 初年度にマイワシフィレ-の貯蔵開始時,ガス置換貯蔵中および開封後の試料より分離した代表菌株(21株)を用い,それらの増殖に及ぼすガス組成の影響を調べるため供試菌培養を平板培地に画線後,種々の比率の混合気中で培養(10℃)した。貯蔵開始時および含気区より分離した菌株ではLactobacillus以外の菌株(Pseudomonas,Vibrio)Moraxella,Acinetobacter)かCO_2を含む気相下で増殖が抑制された。一方,ガス置換区14日目の試料より分離したほとんどの菌株(Aeromonas,Lactobacillusなど)がCO_2の影響を受けず,どに気相においても増殖が認められた。 2.食品衛生細菌の増殖に対するガス組成の影響 コンポジット魚肉にVibrio parahaemolyticus,Salmonella Typhimarium,Staphylococcus aureus,Escherichia coliを接建し,種々の混合気中で10℃に貯蔵した際の生菌数変化を調べた。その結果,いずれの供試菌株もCO_2存在下では増殖抑制を受けたが,N_2ガスの効果は菌株によって異なり,E.ColiとS.typhimuriumはN_2ガスによってはほとんど影響を受けなかった。V.parahaemolyticusはいずれの混合気中においても急速に死滅した。また,寒天平板ヒでClostridium botulinumの増殖に及ぼすガス組成の影響を調べた結果,その増殖はCO_2存在下で若しく抑制された。 3.はんぺんに対するガス置換包装の貯蔵効果 はんぺんをCO_2ガス置換包装し、10℃に貯蔵中の変化を調べた。その結果,官能評価および生菌数からみたシェルフライフは,対照区に比べ約2倍に延長された。はんぺんの細菌相は,貯蔵初期にはBaullusが,初期腐敗時には対照区でCorynebacterium,Enterobacteriacae,Vibrionaceaeが,ガス置換区ではVibrionaceaeおよびStreptoceccusが優勢であった。
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