研究課題/領域番号 |
02660226
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研究機関 | 釧路公立大学 |
研究代表者 |
西村 正一 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (70003043)
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研究分担者 |
土井 時久 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (60137388)
永木 正和 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (90003144)
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キーワード | 十勝地方 / 和牛生産 / 畑作複合経営 / 複合利益 / ファジイ線形計画法 / 和牛部門成立可能性 / 一貫経営型 / 低コスト生産 |
研究概要 |
北海道・十勝地方はわが国有数の畑作・酪農の大規模農業地域であるが、近年、黒毛和種を中心とする肉牛生産が急速に増えている。もとより酪農主産地帯であるため、乳用種肉牛の飼養頭数は非常に多いが、これを除いた十勝の肉牛(和牛と洋種)の飼養頭数は1975年の6千頭から1990年の22千頭へと増大した。乳用種肉牛は大規模専業経営によって生産が担われているが、和牛は25%が専業経営で、55%は畑作複合、25%が酪農との複合であることと、飼養農家の80%が繁殖経営であることが特微である。 本年度は十勝における和牛繁殖経営の経営形態や飼養方式の実態を明らかにするために、十勝で和牛が最も早く導入された音更町で実態調査を行った。音更町では95戸で和牛が飼養されていた。和牛導入の契機は、1)地力回復のための有機質源の確保、2)遊休労働力(特に冬期)と遊休施設の活用、3)低生産性農地の草地資源への転換利用、ならびに畑作残渣物の飼料源としての活用、4)農業所得の増大、であった。すなわち、音更町の実態が示すように、飼養規模は大きくないが、労働加重にならない範囲、大規模な施設投資を要さない範囲の規模で飼養する畑作複合飼養農家の戸数の増大がこの地域の和牛飼養頭数を増大させてきたのである。和牛飼養形態は、1)繁殖経営型、2)一貫経営型、3)乳牛を活用したF1牛生産型に分類されたが、大多数は繁殖経営型であった。なお、3)の経営方式は十勝が酪農産地である故に成立している方式で、ごく近年飼養が試みられている方式であるが、素牛費が著しく低コストであるので、今後のこの地域の新しい和牛飼養方式として注目される。詳細は次年度に分析を行う予定である。
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