研究概要 |
ゲ-トの底部流出時の流況は一つのエネルギ減勢工として機能し,ある流況では著しく騒音が少ない流れがみられる。この流れを水理的に明らかにするため、既にゲ-トからの流況と騒音の関係についての基礎実験を行っており現地での騒音特性との比較実験を課題としていた。そこで、山形県鶴岡市白山に位置する倉脇東西分水工で現地実験を行った。 水路は分岐前で幅4.5m、分岐後の右岸側で幅1.2m,左岸側で幅2.1mのコンクリ-ト水路である。実験は、右岸側水器のゲ-トG_1と堰上げ用にその下流側に臨時的に設置したゲ-トG_2の2ゲ-トを操作し,ゲ-トG_1直下流に種々の流況を実現させて行った。水音の測定はゲ-ト直下流の水路側壁天端で行った。 測定値を用い,縦軸に潜没跳水時の水音値と完全跳水時の水音値の比をとり、横軸に潜没度Sを用いてプロットすると、Sが小さいほど音比は大きく,基礎実験と同じ傾向となった。これにより、ゲ-トの底部流出時に伴う騒音は、ゲ-ト直下流の流況によって著しく異なり、これらの関係は音比と潜没度Sの関係でほぼ表示できることが判明した。多少余裕を見込んでS【greater than or similar】2の状態でほぼ騒音は発生しないので、この関係を用いて水理設計を行う 次に、ゲ-トの底部流出時の流れを騒音の周波数帯との関係で調べた。全体的には水音値の最大値は400〜630Hzの間であり、騒音値が減ずると各周波数帯での水音値も全体的に低下していた。この状況を他の水音(砂防ダムからの落下流、湯野浜海岸での砕波に伴う水音等)と比較した。その結果、水音値の周波数帯には差異がみられ,詳細な検討は今後の課題であるが、流況上からは、砂防ダムは鉛直方向の水理現象、落差工の跳水は水平方向の水理現象であり、砕波は両者の合成的流況と位置づけてその差異は説明可能と思われた。
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