研究概要 |
山形県内における落差工、急流工等の施設による騒音の事例を調べた。騒音問題は約20例あり、睡眠の妨げになるという苦情内容であった。騒音対策としては、コンクリ-ト等を用いて水路に蓋をし騒音を内封した事例が約半数で、落差工を急流工に改修したという興味深い事例が数例あった。そこで、まず水理基礎実験により、落差工と急流工の流れにおける騒音特性について比較検討した。 実験水路は、幅0.25m,全長12mの木製水路で上・下流水路底落差は0.34mである。実験は、下流水路末端設置の可動堰高を変化させ,下流水路の始端付近から露出射流、完全跳水と潜没跳水(急流工の場合には斜面上跳水)の流況で騒音値等を計測した。結果は次のようである。(1)急流工、落差工いずれの場合も従来の実験結果のように,流量が大になるに伴い騒音値は大きくなり、下流水深が大になるに伴い騒音値は減ずる。(2)落差、流量、下流水深が同一の状態で跳水が生じている時には、騒音値は急流工に比べて落差工の方が大きいが、下流水深が大になるに伴い急流工と落差工の騒音値はほぼ同値となる。これより急流工はある条件下では騒音対策工の一つとして機能する。 次に,ゲ-トの底部流出時の流況は一つのエネルギ減勢工として機能し,ある流況では著しく騒音が少ない流れがみられる、そこで,山形県鶴岡市に位置する倉脇東西分水工で現地実験を行った。実験は、右岸側水路のゲ-トG_1とその下流側に臨時的に設置したゲ-トG_2ゲ-トを操作し、ゲ-トG_1直下流に種々の流況を実現させ水音の測定を行った。その結果、ゲ-トの底部流出時に伴う騒音は、ゲ-ト直下流の流況によって著しく異なり、これらの関係は音比(潜没跳水時の水音値と完全跳水時の水音値の比)と潜没度Sの関係で表示できた。S【greater than or similar】2の時、ほぼ騒音は発生しないので水理設計が可能となった。
|