今年度はまず農地河川における窒素や燐の各形態別の時期別濃度を測定した。その結果燐はリン酸態として水に溶解している割合は小さく、90%以上が懸濁態として河川を流下することがわかった。この懸濁態の成分のうち、代掻および田植の時期に多かったのが土粒子に付着している燐であったが、それ以外の時期では、リン酸鉄として存在している割合が高かった。水田では土壌の還元化に伴ってIII化鉄がII化鉄になり、水に溶解して排出されることが知られているが、調査によると、暗渠排水中に鉄と燐が多く含まれており、鉄が溶解するのと同時に燐も水に溶解して排出されることがわかった。還元状態で排出された鉄と燐は、河川流下中にすみやかに酸化され、リン酸鉄となり、溶解性から懸濁態へと変化することが、暗渠排水の曝気実験によって判明した。 窒素の場合は、燐に比較するとその割合ははるかに少ないが、土粒子に付着したアンモニア態窒素や、有機態窒素が懸濁態として存在していた。 今年度はこのような懸濁態の沈殿物がたまるように、水田の小排水路に掘り下げ部分を設けたが、沈殿量は少なかった。流量とSS(懸濁態物質)の関係から、流量の少ない門に沈殿したSSは、流量の増大時に巻き上げられて排出されることがわかった。 また農地河川において恒常的に堆積が生ずる場所で、浚渫が行われているが、その浚渫汚泥中の窒素と燐の濃度を測定し、除去割合を推定した。
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