研究概要 |
今年度は河川中における窒素と燐の自然浄化の実態を調査し、それに基づいて人工的にどの程度の浄化が可能なのか新潟県の白根郷を対象に調査検討を行った。 その結果、原単位法によって推定した排出負荷量に対し、最下流の白根排水機場に到達した負荷量(流達負荷量)の割合は年間で、T-N(総窒素):60〜70%、T-P(総燐):70〜80%となった。つまり浄化率は、T-N:30〜40%、T-P:20〜30%であった。また晴天時と雨天時に分けて流達負荷量の割合を比較したところ、流量、T-N、T-Pの雨天時/晴天時の割合は3.15、2.85、5.97となった。つまり降雨などによって流量が大きくなると、T-N濃度は同程度か若干下がるが、T-P濃度は逆に上昇し、平均値で2倍程度に達することが判明した。 また窒素の場合、その多くは硝酸態窒素、アンモニア態窒素という溶存態であり、燐の場合は燐酸鉄あるいは土壌粒子に吸着された形の懸濁態成分がほとんどであった。 次にポンプ運転停止時における水路中のT-N,T-Pの濃度変化の測定結果では、T-Nの場合はほとんど、変化が見られなかったものの、T-Pの場合はポンプ運転時と休止時では、休止時の濃度が1/2程度に下がっていた。 以上のことより燐は懸濁態成分が多いため、流量が小さい時に沈澱特性があるが、窒素は溶存態であるため、沈澱特性がないことがわかった。 燐の沈澱による除去の可能性を確かめるためポンプ場前における浚渫土砂の燐成分を測定したところ374mg/風乾土100gであり、水田土壌の約10倍の燐濃度があった。これに浚渫土量を乗じて燐除去量を求めた結果総排出負荷量の10%、白根郷全体の浄化量の約1/3となり、沈澱除去の可能性が確かめられた。
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