農地河川における窒素と燐の流出量および、流出形態を調査した結果、窒素については代掻き田植時懸濁態の成分が見られるものの大部分が溶存態として流出していた。これに対し燐は常に懸濁態成分が卓越していた。ただ同じ懸濁態でも代掻き田植時期では、土壌粒子に結合した形で、その他の時期に懸濁性の燐酸第二鉄が多かったが、これは暗渠排水によって排出した燐酸第一鉄が、水路中で酸化されて、燐酸第二鉄に変化したものである。新潟平野のような沖積低平水田では土壌の還元化が進むと3化鉄が2化鉄に変わる。2化鉄は溶存性が高いために水中に溶け出す。鉄の溶解に伴って鉄と結びついていた燐酸も土壌水中に溶解するため、暗渠排水がある場合にはこの土壌水が排水されるため、燐酸や2化鉄が排出されることになる。 水路中で酸化された燐は懸濁態成分になるが、これは沈澱性であるため、流量の少ない時には水路中で沈澱するが、大量時に再び巻き上げられて流下する。したがって燐のこのような特性を利用すれば、かなりの量が除去できるはずである。白根郷にある排水路の浚渫土壌を分析した結果、水田土壌の約10倍程度の燐含有量があることがわかり、土量を乗じて除去量を推定した結果、年間の排出量の約10%が白根排水機場前の水路に沈澱することがわかった。このことから人工的な沈澱施設を作ったらもっと効率的に燐を除去できる可能性があることがわかった。窒素については沈澱による除去ではあまり効果は期待できず、別の方法による必要がある。
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